「Gili Life」は島の繁華街(というか港の周辺に集まる土産物屋やレストラン街)を少し外れた、比較的静かな場所にあった。
昨日まで泊まっていたKutaのホテルから比べると、山小屋?いや海小屋か、、、という長屋のような安宿だ。
宿に着くとさっそくシャワーが出る事を確認。(出ない事も多いらしい)はじめから聞いていたがもちろんお湯は出ない。
エアコンも無し。あるのは扇風機。
シンプルな四角い部屋にダブルベッドがひとつという作り。
こういう旅に慣れているK織に言わすと綺麗すぎる(笑)くらいらしいが、わたしは初挑戦的。
こう見えても意外と神経質なので気構えが必要な感じだ。
けれど今回の旅の滞在期間を考えると費用は少しでも押さえたいので、ネットで探せるギリギリの価格、1部屋1500円程度(2人で割ると1人一泊750円)はとてもありがたい。これで朝食も付いている。
Gili Lifeは庭に面してそういう部屋がいく棟か並んでいる。
入り口にはテラスがあり、テーブルとイスが置いてある。
私はそのテラスのイスに腰をかけてお茶を飲んだりぼーっと煙草を吸うのが好きだった。
Gili Life のすぐ近くにはモスクがあった。
朝な夕なにコーランのお祈りの音が聴こえ、ここは日本じゃないんだなぁと、テラスに座って感慨深いひと時を過ごす。
そうしているとたまにアジがやってきて、声をかけてくる。アジはこの宿の主人で家族で同じ棟に住んでいる。
アタマにちょこんと帽子のようなものを被り、ドクターの白衣のようなイスラムの衣装を着ている。敬虔なイスラム教徒なのだろう。
歳はいくつなのかわからないが、お爺さんにもおじさんにも見える。もしかしたら意外に若いのかもしれない。
けれど思慮と老成を感じさせる、深い眼差しをしていた。
わたしはアジがなんとなく好きだった。
バリ島に来てからというもの、道を歩いても、お店に入ってもとにかくやたらと見知らぬ現地の男性に声を掛けられる。
物を売りたい一心なのは判るが、臆面も無く話しかけて来られる馴れ馴れしさに、少し辟易としていたせいもあるかもしれない。アジには彼らには無い、奥ゆかしさと、礼儀正しさがあった。
アジは私がテラスにひとりで座っていると退屈してると思うのか、遠慮がちに近づいて来て、たわいもない話をひとことふたことを拙い英語ではなす。当然こちらも拙い英語なので、解ったような解らないような、けれどシンプルに優しさの伝わる会話になる。
部屋にムカデが出て、私たちが大騒ぎしていると、なんだそんなことかと素足でムカデを踏みつぶそうとする。
それを見ていた私たちはもっと大声を出すので、笑いながらモップを持って来て外に出してくれたり。
そういえば、「グラスボートに乗るか?ウミガメが見れるぞ」と言いに来て、翌日乗らないと返事をしたら少しがっかりしていた。斡旋するとアジにもマージンが入るのだろう。
アジはオーナーではあるけれども、その上に元締めがいて、売り上げを搾取されると、少し嘆きながら言っていた。
かわいそうな事をしたかもしれない。
あるときアジと話しているとへんな音が聴こえて来て、なにかと訪ねると「マパティ」だと言って空を指差す。
さっきから黒い小鳥が群れをなして飛んでいた。
それにしてもその音は鳥たちが出しているようにはとても思えないほどの、不思議に宗教的な共鳴音なのだ。
アジが言うには、それは声ではなくてノドの奥にある「ベル」で音を出してそれが共鳴しているのだという。
マパティの音、夕方の風、コーラン。
今思えばよく手入れされた庭を見ながら、Gili Lifeという安宿のテラスで過ごすひと時はとても優雅だった。
つづく
*写真はGili Lifeの朝食。このバナナパンケーキがカリッとしててめちゃウマ!
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seks telefon (火曜日, 31 10月 2017 22:00)
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sekstelefon (金曜日, 03 11月 2017 22:11)
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